《MUMEI》

――なにかいる。





ここに来て屋上へ登ることをしようとしても身体が動かない状況に、雅俊は直感的に魔法の気配を感じる。



2月の覚醒以来、毎日の様に魔法の練習を重ねていた雅俊。

その練習時には何度も何度も自らの脳に向かって化(センス)を使い続けている。



今自分を取り巻く違和感が、その時の感覚によく似ていた。



魔力の大きさや気配は、本来なら探(サーチ)という能力を持っている者にしか、感じ取ることは出来ない。


だが、実際にその魔法を当てられている場合は話が違う。


化(センス)の様な視覚的変化を与えにくい魔法であると、気付かない場合が多いとはいえ

自らがその能力を持っている雅俊には、わずかだがその魔法的な影響を感じ取ることが出来た。





さきほどの山男との会話から、『探しているスレシル』かもしれない

とここまで来たが、最悪の場合ノルフェスかもしれない。




その場合は、おそらく接触しないに越したことはない。



なぜノルフェスがこんな所にいるのか。









その答えは簡単。


ノルフェスはスレシルを、つまり雅俊を狙ってくる。

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