《MUMEI》

…あぁ、そうか。未
練を引きずっていた
のは、俺だったのか

アイツに似てる世良
に執着したのも、あ
の頃から気持ちが抜
け出せて無いからだ
よな。

『後悔…したくない
…か。』

勝山は噛み締める様
に呟いた。


『あの、勝山先輩、
どうしたんですか?


無言で黙り込む姿を
眺め不安げに声を掛
ける世良。

『ん、あぁ…』

ーー俺は馬鹿だな。

…叶わない恋、なん
て最初から決め付け
ずに、なりふり構わ
ずに本気でぶつかれ
ば良かったんだ。

そうしてたなら、例
えフラれてたとして
も、今の俺よりは少
しはマシな状態だっ
たはずだ。

『…選択肢を間違え
たのは…俺かもな』


『え?!』


『いや…ま、やるだ
けやって見ろよ、世
良。そんで、見事に
玉砕したら…俺ント
コに来いよ!その可
愛い尻を一晩中愛で
てやるからさ。』

『ちょっ、先輩…玉
砕って縁起でも無い
てか、は、え?尻?
愛でる?…うぇぇー
ー???』

尻を隠す様に、後退
りしながら距離を取
る世良を笑う勝山の
顔は、何故か晴れや
かだった。

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