《MUMEI》
隆の計画
『はあぁぁーーぁっ
ぁぁぁーーー』

東総一郎は、早朝か
ら数え切れない程、
溜息を吐き続けてい
た。

なんで、俺が、こん
な“変態紛れ”な姿
を晒さないといけな
いのか?

昨日、去り際に言っ
た隆の計画のせいで
今の状態に陥ってい
た。


早朝、昨日の紙袋を
持ち神品を従えて意
気揚々と押しかけた
隆。

寝ぼけ眼の総一郎の
前で紙袋を逆さまに
して中味をぶちまけ
た。

バサバサと落ちたの
は…女物の洋服、そ
れとロングのウイッ
グ、化粧品の数々。
そして総一郎の足の
サイズに合わせたハ
ーフブーツ。

『は?』

一瞬で寝ぼけた頭も
飛び起きた。


『だからね、コレを
着るんだよ、総ちゃ
んが。』

無邪気に笑う隆の笑
顔に凍り付く。


…いやいや、何が?
だからね、なのか、
隆くん?俺にはさっ
ぱり解りませんが…

『なんの冗談かなぁ
?隆くん?あははは
は……』

顔面を思い切り引き
攣らせながら、隆に
やんわりと言えば…


『大丈夫だよ、神品
と二人で、ちゃんと
女の子に見える様に
してあげるからね』

会話の噛み合わない
言葉を発した隆は、
いそいそと、着替え
る準備を始め出した


『いやいや、だから
ね隆くん、俺、別に
女の子になんてなり
たくないのよ、って
聞いてる?あのーー
もしもし…?』

俺の必死の叫び声は
隆には届かなかった
ようだった。

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