《MUMEI》
小説講座開設!
「はじめまして。激村創と申します。げきむらはじめと読みます。数多い教室があるなかで、私の教室に来ていただき、誠にありがとうございます」
小説講座を開いた作家の激村創。しかし教室に来てくれた生徒は仲田洋一ただ一人。二十歳の好青年。なかなかのハンサムボーイ。
だが、彼は激村の知人だ。有名人天国ニッポンにあって、無名の作家は茨の道を歩む。世間でいう作家とは、ベストセラー作家のことで、売れない作家への風当たりの冷たさは、昭和初期。すなわち力道山の時代から変わっていない。
しかしゼロ人と一人では天地雲泥の差である。
激村は目の前の一人を最大限に激励しようと、怯む心にキングコングニードロップを炸裂させた。
「これから創作について大事なことを一緒に学んでいきたいと思いますが、わかりやすく『Web小説の書き方』を主軸に語っていきます」
「はい」仲田洋一は軽く返事をした。
「なーんだ、Web小説か」と教室を出て行こうとしたら、羽交い締めからドラゴンスープレックスが火を噴くこともあり得たが、仲田は真顔で次の言葉を待っている。
日頃「一人の人を大切に」と語っていることに嘘偽りがないことを今こそ証明するときだと、激村はバーニングスピリットを燃やして講義に臨んだ。
「Web小説といっても、これから話す内容は、文学、マンガ、演劇、人形劇、コントなどあらゆるものに応用できる技術です」
仲田の表情が少し動いた気がした。激村は続けた。
「さらにはブログやホームページ、メルマガやセールスレター、スピーチやプレゼンテーションにいたるまで、いろんな展開が可能です。どこの書店にも売られていない、全くのオリジナルな内容です」
講座タイトルは『エキサイティングなヒロインたち』である。若い仲田は先を急いでいたが、じっと待った。話に前置きはつきものだ。
「この講座では私が研究してきたすべてを語ります。個人授業になりますが、よろしくお願いします」
「お願いします」仲田洋一は軽く頭を下げた。
激村は教室が満室になることを想定していろんなギャグを用意していたが、相手が一人では滑るのは目に見えている。
何となく喋りのリズムが狂い始めてきた。
スピーチというのもプロレスと同じ。頭で考えた通りに試合を運べるとは限らない。
「激村先生」仲田が質問した。「どうしたら小説は読まれるんですか?」
ゴングと同時にドロップキック!
いきなり究極の質問だ。

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