《MUMEI》

悪戦苦闘の一時間後
鏡に映る自分の姿に
ヘソを噛んで死にた
くなった俺。

黒髪のロングストレ
ートの髪(勿論ウィ
ッグ)、喉仏を隠す
為のハイネックの白
いニットに体型をご
まかす為のゆったり
めのピンクのロング
カーディガン、すね
毛を見せぬ為にロン
グ丈の細い幅のプリ
ーツスカート。

格好だけ聞けば、女
子大生に思えるかも
しれない…が…。

可愛い女の子とはお
世辞にも言えない、
ただのデカイ女?も
しくはニューハーフ
だった。

それに色を添えるの
が、隆と神品の二人
が施したメイク。

こちらも、美しさの
カケラも伺えず、頬
紅を塗りすぎた顔は
可笑しさが込み上げ
る作りになっていた


『クックックッ…』

涙目になりながら笑
う神品を横目で睨み
付ける。

『あ、あれ…おかし
いなぁ?…あ、と…
総ちゃん、あの、え
とーーーそうだ、眼
鏡とマスク!』

完成予想図と違い焦
る隆は、変装の必須
アイテム二品を持ち
出して俺に装着する


『うわ〜い、うん、
良いよね、うん、ね
?ね?ね?ねぇ?』

…ね?って、隆くん
必死過ぎてませんか
?目、泳いでますよ
それとーー神品〜!
てめっ、笑いすぎ!

眼鏡とマスクのお陰
で、デカイ女に怪し
い要素が加わった。

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