《MUMEI》
時の流れ
『…で、隆?俺はな
んでこんな恥さらし
な格好をしなくちゃ
ならないんだ?』

質問をする俺に、神
品が吹き出す。

『ブハッ…今更かよ?
最初に聞けよ。』


…うるせー、俺は昔
から隆のやる事には
寛大なんだよ。ま、
今回はマジビビりし
ましたが…。

…で、隆くん、お返
事は?


『あのね、総ちゃん
が客観的に世良くん
を見れるようにする
為だよ。』


『………はい?』


『総ちゃんは、常識
人で頭が堅いから、
東総一郎のままだっ
たら、いつまで経っ
ても、友達の世良く
んしか見ないと思う
んだ。
だから、思い切って
違う人物になって、
世良くんを新鮮な眼
で見たら良いと思っ
たんだよ。』


『………隆、お前』


堂々と意見を述べる
隆に、…成長したな
ぁとか、いつの間に
自分の考えが言える
ようになったんだと
か聞きそうになった
けど、返答が容易に
想像出来たので止め
た。

多分、俺を見て馬鹿
笑いしてるヤツのお
陰だろう、ムカつく
から言わないけど。


あー本当に、もう隆
は俺が居なくても大
丈夫なんだな。


一抹の寂しさに胸が
痛んだ。でも、多分
それは、手の掛かる
子供が巣立つ時の親
の心境に近い感情だ
と総一郎には解って
いた。


二年の時の流れは総
一郎の心にも確実に
変化を齎していた。

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