《MUMEI》

チカラと言う運命共同体とも言える仲間を得た俺は、本人が気付かないままに田中を仲間外れにしている。


そのつもりは無くとも、


俺がチカラといるだけで、勝手にその事実は積み重なっていく。




もちろん、俺が勝手にそう感じているだけかもしれないが…






「じゃ、俺部活戻るわ。(まだ行ってねぇけど…)」



「おー。俺も寮に帰るかなぁ。今日の夕飯なんだろ。」




善彦は、使うつもりもない教科書を適当に自分の机から引っ張り出すと、それを見ていた田中も伸びをしながら立ち上がる。







―カツリ








「…?善彦、今のなんの音?」




「…?なんか聞こえたか?」




「んー?気のせいかな。」










―カツリ








「あ、また。」

「今の音か?なんだろ?ベランダ?」

「?」




2人は顔を見合わせながら、開けっ放したままの窓からベランダを覗く。

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