《MUMEI》

「2人で練習かよ。」



関谷はバカにするような笑い方でそう言った。



「…先輩たちがまだ授業だからっすよ。」



不機嫌そうに椎名は答えた。



「つか先輩は…?」



恐る恐る尋ねる千秋。



「あ〜、具合悪いから帰る。」



「…」



(…嘘つけ。)



信じるわけもなかった。



「…行くか。」



椎名は会話を切り、
さっさと関谷と別れようとした。



「…ちょっと待て。」



が、
関谷は2人を呼び止める。



「…何か?」



振り返る椎名。



「お前さ…」



「はい?」



「何であの少人数で頑張ってんの?」



「…別に。
先輩には関係ないでしょ。」



「関係ね〜けどさ、」



「?」



「俺嫌いなんだよ。」



「…は?」



「頑張ってる風な奴。
自分が努力してるとこ見てほしいみたいなのムカつくんだよ。」



「…何が言いたいかわかんないす。」



「…今から走るとこだったんだろ?」



「そうすけど…?」



ドサッ…



関谷は荷物を置き上着を脱いだ。



「…」



そしてネクタイを緩める。



「勝負してやんよ。
お前がやってる嘘の努力。俺がブッ壊してやるから。」



「…面白いすね。」

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