《MUMEI》

(こいつッ…!!)
(この人ッ…!!)



2人はスタートから飛ばしていた。


1.5kmを走るスピードではなく、


200mを走るかのようなスピード。


本来ならば2人共こんな走り方はしない。


が、


一騎打ちの中距離走。


絶対に負けたくないこの状況が、


2人のペースを狂わせていた。


2人共それを理解していた。


理解した上でわかっていた。



((マジではぇぇッ…!!))



ペースの乱れはある。


が、


それを差し引いても2人の足の速さは明らかであった。



「くっ…!!」



(さすがにこのペースで1.5kmは無理だ…)



次第に落ち着くペース。


この時点でリードしていたのは関谷だった。















………………………………














2-D 教室。



「ふぁ…」



昼食も食べ、


疲労もあり、


眠気に襲われる時間帯。


授業を聞くのは中々に難しい。



(ねむ…)



ユキヒロは集中することができずボーっと窓を眺めていた。















………………………………



「はぁ……はぁ……」



(マジで…はぇぇなあの人…)



………………………………














「あ?」



窓を眺めるユキヒロに、


飛び込んで来た風景。



(な…)



一発で目が覚めた。



(何してんだあいつら…!!)



それは関谷と椎名が走る姿。



(何が…どうなってんだ…?)

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