《MUMEI》

裏門。



(結局何が目的なんだよこの勝負…)



千秋は2人の帰りを待っていた。



ザッ…!!



コンクリートの擦れる音が聞こえた。



(来たッ!!)



視線を移す千秋。


最終カーブを曲がって来たのは関谷だった。



(負けてんじゃん…!!)



落胆する千秋。



ザッ…!!



しかしすぐ後に、
椎名が関谷を追って来るのが見えた。



(おぉッ!!さすが椎名ッ!!)



残る直線は100m程。
距離的にはまだ勝敗はわからなかった。



「はぁ……はぁ……」



(こいつ…よく付いてこれたな…)



(まだ終わってね〜ッ!!)



ダッ…!!



背後から迫る足音。
椎名が直線で抜きに来てることがわかった。



(バカか…!!
陸上部舐めんなッ…!!)



関谷もスパートを掛けようとする。


が、















ガクッ…















(えっ…)















足が思うように付いて来ない。



(嘘だ…そんな…)



「ふぬッ…!!」



(足が…)



ゴールまで数十メートル。


椎名が関谷を抜く。



(おぉッ!!)



拳を握りゴールを待つ千秋。



(俺の…)



「っ…しゃああああッ!!!!!」



(勝ちだッ…!!)



先にゴールに着いたのは椎名。



(んな……バカな…)

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