《MUMEI》

「はぁ……はぁ……」



椎名はその場に倒れこむ。



「はぁ……はぁ……」



関谷は信じられないという顔で、


ただただその場に立ち尽くしていた。



(俺が…負けた…?)



「はぁ……はぁ……


ど…どうすか先輩ッ…!!


俺の…俺の勝ちっすよッ!!」



最後の加速。
勝敗のポイントはまさにそこであった。


それに気付いていた関谷は、


ようやく現実を受け入れる。



(これが…今の俺…


部活辞めて…


練習休んだブランクが…


わかっちゃいたけど…


こんなに…違うもんなのか…)



「はぁ……はぁ……」



むくっ…



立ち上がる椎名。



「…悪かったな。」



「え…」



関谷の返答に驚く椎名。


表情はまるで生気がなく、


一目で落胆の様子が伺えた。



「…」



関谷は自分の荷物を拾い、


その場を後にした。


椎名と千秋は、
ただただその様子を見ているだけだった。



(情けねぇ……)

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