《MUMEI》

「おはよう、二郎くん。」
スーツでバシッと決めた国雄さんが歩いて来た。左手のコンビニ袋がまあなんとミスマッチだろうか。


「おはようございます」
ツンを抱えて仕事帰りを待ち伏せていた。


「有り難う、ツンの餌と散歩助かった!
アイス食べる?」


「食べたいです」


「うんうん、家おいで」
国雄さんは相槌に合わせて俺の頭をくしゃくしゃにする。2メーター近い国雄さんは圧巻だ。

しかもスーツて……。
人懐っこい笑いが不思議と圧迫感を飽和している。


七生が成長して背を伸ばして人生に余裕を持てたら国雄さんにちょっとだけ似るかな。

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