《MUMEI》

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同日。夜。



………………………………














「とも〜!!」



「…」



「とも〜!!」



「…」



「…寝てるのかしら?」
















………………………………



関谷は1人暗闇の部屋の中に閉じこもっていた。



今日1日は、
もう誰とも顔を合わせたくはなかった。


例えそれが家族であったとしても…だ。


混乱する頭の中でもその理由ははっきりとわかった。


もちろん『それ』はさっきの出来事。


椎名という後輩に負けたこと。


『それ』も理由の1つ。


だが本当の原因は敗北によって突き付けられた紛れもない現実。


劣れえてしまった体力と下半身の筋力。


今の自分は以前程走れない。


理解はしても、
心は『それ』を受け入れられない。


受け入れるには関谷はまだ幼すぎた。


そしてこの時はまだ知る由もなかった。


敗北から学ぶことがあるということ。


その先にこそ成長があるのだということを。



………………………………














(…情けねぇ。)



部屋は暗く、


関谷はベッドに座り、


壁に寄りかかったまま動くことはなかった。



(カッコわりぃ…)



大口を叩いて部活を辞めた自分、


勝負に負けた自分を、


責めずにはいられなかった。



ポロッ…



涙が出た。



ぐしっ…



すぐに涙を拭った。



(何泣いてんだよ…)

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