《MUMEI》

放課後。



「帰った?」



「うん。HR終わった後すぐ消えたよ。」



「あいつ…」



「もしかして俺ら…
避けられてんじゃないすか?」



「…はぁ?」



授業が終わり、
再び関谷の教室を訪れたユキヒロたち。


が、


そこに関谷の姿はなく、


またもや無駄足に終わる。



「あの野郎…」



「怒んな怒んな。」



怒りながら歩くユキヒロ。


4人は部室へと向かっていた。















………………………………



キュッ…!!


トントンッ…



「ふぅ…」



………………………………














「せっかく俺たちが」



ガラッ…



話ながら部室のドアを開けるユキヒロ。



「誘って…」



そこまで言って、


4人は固まる。



「…え?」



部室の中には、
ジャージ姿の関谷がいた。



「おせ〜よ。」



「…は?」



誰も状況を理解することができなかった。



「おい。」



ガタッ…



パイプ椅子に座っていた関谷が立ち上がる。



「お前…名前なんだっけ?」



関谷が指差していたのは、



「し…椎名っす…」



椎名。



「今この部の中で1番速いのはお前って考えてい〜わけ?」



「っ…」



ユキヒロと峰田の顔を見る椎名。



「そ…そ〜なるかなぁ…」



話し方とは裏腹に、
言葉からは謙虚さ等みじんも感じられなかった。



「なるほどな…」



「いや勝手に解決すんな!!」



「もう1個だけ聞かせてくれ。」



「?」



「ハンドの世界にも、
お前より速い奴はいんだろうな?」



「…ごろごろいますよ。
俺なんかじゃ足元にも及ばないような化け物どもが。」



「…それだけ聞けりゃ十分だ。」



「だから勝手に納得すんなって!!」



「決めたぜ。」



「は?」



「俺はそいつら全員ぶち抜く。」



「…それって?」



「やるからには上目指す。
やってやんよ。ハンドボール。」

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