《MUMEI》 "美羽" 今までで 一番優しく抱きしめた もろく崩れた、 俺が壊した女の子 ずっと目指し求めていた 美羽を めちゃくちゃにすることを だけど 満たされないんだな 実際に、壊してみたって 美羽の 色素の薄い髪をなでる 俺、 どこまでも酷い奴だね なんで、泣けねんだろ 美羽をこんな風にしたのに むしろ なんかがっかりしてる 満たされなかった 自分の欲求に その時、 自分の残酷な思考に 初めて本気で怖いと思った 手が震える 人間て、どこまで真っ黒なんだよ "美羽、俺のこと、恨んで" 美羽を抱きしめる肩も震えた 早く、しなきゃ 逃がさなきゃ 美羽を今すぐに、俺のもとから "呪って、憎しんで、葬って" 震えたままの手で、 美羽の死人のように冷たい手を握った "俺のいない世界に戻って" 手に、 精一杯の力を込めた "そこでまた、元気になって" 最後の言葉は 聞こえたかわからない 美羽は何も言わなかった ただ疲れたように、 横になった 見つめていると、眠るようにつぶった美羽の目から、一粒の涙 "タナトス" 俺が最後に聞いた 美羽の声だった 前へ |次へ |
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