《MUMEI》 意味は知っていた 「死の本能」 相手を破壊することを、 求める欲求 美羽は、 いつタナトスという言葉を 知ったのだろう 放っておいたら 俺みたいな人間は 俺を殺し始めると、 いつから 気付いていたのだろう 初めてアイツを殴ったときか、 セックスが エスカレートした時か それとも、 つき合う前からか 美羽は、頭がいい 俺は頭からっぽな女が嫌いだから、それは間違いない なんとなく、始めから全部知っていたんじゃないかと思った だからあんなにかたくなに、 俺に何をされても耐えてたんじゃないか 本能を解放することで タナトスを満たすことで ぎりぎり保っていた俺の精神を きっと美羽は自分の全てで 守っていてくれた 胸が締め付けられる 吐き気がする なんで、 もっと早く気付けなかったんだ 全部を壊してから 気付いたって、 全部を失ってから わかったって、 もう美羽は、 俺の隣にいないのに あの日 罪悪感を感じてから 5ヶ月ぶりに 涙がでた 自分が純粋な子供に 戻ったような気までした こんなにも深く 美羽のいない世界を "悲しい" と、思うなんて 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |