《MUMEI》

わかってるよ


こんな文字の羅列で、
なんになる
ってことくらい



自分に問う

俺は、何がしたいんだ
罪滅ぼしのつもりか?


だけど結局、迷いながらも
送信してしまった


メールを送ってから10分もしないうちに、美羽から返事が来た


慌てて携帯をとる


心臓の鼓動が、
潰れそうなくらい鳴る




"ハル
あたしの願いはね

春希を守ってくれる人が
早くハルを見つけること


だから、自分を責めないで

幸せになって


ハル

愛してる"




最後の最後まで、
美羽は俺を責めなかった

あんなに酷いことばかりして
償いきれない
傷を負わせたのに



人間てきっと
何かを傷つけずに
生きてはいけない


自分を傷つけるのは
嫌だから、
代わりに誰かを傷つける

そうやって生きていく



そんな人間を、俺自身を
俺はずっと
クソだと思ってた

害以外の何でもないと
思ってた


だけど
美羽を見ていると

そんな人間すら
綺麗なものに見えた


他人のために
自分を傷つけた人間を
尊いと思えた




ごめんな、美羽

ごめん



壊して失って見えたもの

俺にとってそれは

美羽がくれた、"光"だ

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