《MUMEI》

何度も溜息を吐く総
一郎を宥めすかし、
一番後ろの端の席へ
となんとか座らせた
神品は、キョロキョ
ロと辺りを見回して
お目当ての人物を見
付けると、総一郎を
一人残し去っていっ
た。

…ゲッ!神品〜1人
にすんじゃね〜。

自宅を出てから此処
迄の間、人々の異様
な視線を浴び続け、
少々、視線恐怖症気
味な総一郎であった


仕方なく俯き、極力
目立たぬ様に静かに
座っている事にした


一方、総一郎を残し
神品が探した人物は
世良だった。


『世良、おはよう』

『あぁ、おはよう』


二人は笑顔で挨拶を
交わし、二言三言話
しをして別れた。


世良は、神品が戻る
先に座っている人物
に気付き、頭を傾げ
た。


『??』

…誰だ、あれは。知
らない人だな…なん
と言うか、個性的な
…いや、失礼だな。
人それぞれだし…。


総一郎の、余りにも
インパクトな変装に
一度は視線を反らし
た世良。


『………?!』

しかし、何故か、も
う一度振り向き…総
一郎の姿を眺める。


『……まさか、な』

軽く笑い、首を振っ
た。

一瞬、総一郎に似て
る等と思った自分は
相当末期だな、と世
良は自嘲した。


神品の言った通り、
世良の総一郎レーダ
ーは優秀だったのだ

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫