《MUMEI》

赤高ベンチ。



「…あれが市原か。」



クロが呟く。



「知ってるのか?」



尋ねる安本。



「先生何も知らね〜な!!」



口を挟む沖。



「ぐっ…」



お前もだろ…


そう思いながらも口には出さない安本。



「今年1番の逸材とか言われてる1年ですよ。」



「あ…あれで1年生なのか…」



驚く安本。


確かにプレーからはルーキーとは思えない別格のオーラが感じられた。



「まぁ実際にプレー見たのは初めてですけどね。」



「いやクロさん昨日も見たじゃん!!」



笑いながら言う沖だが、
クロは一切のリアクションを見せない。



「元々は45らしいけど…


今の秀皇的にはああいうプレイヤーをポストに置けるわけか…


いいな…


ウチにも欲しい。」



「クロさんポストなら俺がいるじゃないで」



「いずれあいつも45になんだろうけど…


あの面子じゃ確かに今はポストに置くのがベストかも…


う〜ん……手強い。」















………………………………



単純なシュート力の話をするのであれば、


市原のそれはユキヒロや千葉に劣っているレベル。


しかし、


それはあくまでも筋力や体の大きさがある上での話であり、


来年を見れば末恐ろしい物であった。


スキルという点からすれば、


現時点では文句の付けようがなく、


仮に市原が45として出ていてもなんら不思議はなかった。



………………………………














(さて…悔しがってる暇はないよ村木くん。


お前が止めなきゃ作戦は成り立たない。


4点。


それ以上はあいつにくれてやるなよ。)

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