《MUMEI》

「…」


どうやら向こうから何かを仕掛けてくる様子はない。

しばらくソウランの主導権を確認した時のまま、いつでも魔法を出せるようにと構えていたが、何も起こる気配はなかった。




「まだいるんだよな…」



主導権が60%を超えているためか、ソウラン内の自分以外の存在がどの辺りにいるのか位は察知ができている。



2月のジェイオルとの遭遇以来、魔法の練習を重ねてはいが、練習以外の実践での魔法の使用は初めてだった。

実際、緊張からか全身の汗が止まらない。



「くそっ…」



意を決し、雅俊はさらなる魔法を繰り出すための構えを取った。

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