《MUMEI》

「いい千秋?」



「はい?」



「今のとこ向こうに決定打はないと僕は思ってる。」



「え…?」



「確かに両サイドのスピードは驚異的だけど、


フリーにさせなきゃ問題ない。


セットはお粗末なもんだよ。」



「お…お粗末…」



「右サイドのポストシュート見たでしょ?


ああいうのが慢りなんだよ。


プライドを捨てきれないんかな。」



「あの…」



淡々と話すクロの話に割って入る沖。



「意味がさっぱりなんすけど。」



コクコクッ…



千秋も黙って頷いていた。



「あぁ…あいつのシュートさ、


プロンジョンだったんだよ。


気付いてた?」



「確かにそうでしたね…」



「それが何かしたんすか?」



「あいつ…たぶんプロンジョンが癖になってる。


それ以外のシュートフォームから打てないってわけでもないんだろうけど、


回数的に多くなってんのは間違いないだろうね。」



「…?」



「…」



(この人の話はいつも最初がわけわからん。)



「右利きの右サイドには有り勝ちな話だけどね。」



「…」



「…」



「…」



「…?」



「…?」



「…ふぅ。」



「いやふぅじゃないすよ!!
そこで説明終わられてもわけわかんないっす!!」



「えっ…あぁ、


だからさ、


その『プロンジョン』で打つ為にポストに落とすタイミングを減らしてんじゃん。」



「…は?」

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