《MUMEI》

「何したんすか?」



安本に尋ねるクロ。



「久保のファールだ。
ポストの子のシュートモーション中に。」



(7メートルかよ…)



「カードは?」



「いや。出てない。」



「ふ…む…」



考え込むクロ。



(点差は上出来。


久保も思ったよりは動けてるけど、


やっぱりスタメンに緊張してるせいかどうもミスが多い。


丁度7メートルだし…


そろそろ千秋を…)



「千秋。」



「はい?」



「出番。」



「はっ…はいッ!!」



立ち上がる千秋。


しかし、



「ごめんちょっと待って!!」



クロがストップをかけた。



「?」















………………………………














コート。



「すいません…」



「だから気にすんなって。」



ファールを気にする久保。


椎名はそれをフォローしていた。



「頼んだぞ村木。」



声をかけるユキヒロ。



「…」



(少し集中させろ…)



村木は見向きもしない。



(…ねくらめ。)



既に7メートルの準備が出来ている赤高に対し、


秀皇は中々準備ができない。



(…交代?)



秀皇センターがコートから消える。


代わりに入る1人の選手。


やけにガタイが良い選手だった。



(7メートル要員?)



7メートルの為だけに選手が出て来るというケースは、


別に珍しい物ではない。



(にしてもガタイいいな…)



見た目からの印象はそれに尽きた。



「決めろよ。」



「…はい。」



(当たり前のこといちいち言ってんじゃね〜よ。)



「榊さんナイッシューです!!」



「…黙れ。」



「う…うっす…」



(もうちょっと優しくなってくれないかな…)



榊竜二。
その存在感は圧倒的であった。

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