《MUMEI》 「ナイッシューだ榊ッ!!」 ベンチから沸き上がる声援。 榊はその一切に耳を傾けることはない。 シュートを決めた榊は、 その足でベンチに戻る。 「榊。」 はずだった。 「あい?」 ベンチ前。 この時榊はまだコート。 「いいシュートだった。 もうちょい出とけ。 向こうの出方もみたい。」 「…」 監督の言葉。 それに対し榊は言葉では答えず、 黙ったままディフェンスに着く。 ……………………………… 赤高ベンチ。 「何?魔神って?」 「え?」 「いやいや今言ってたじゃん千秋。」 「あ…っとぉ…」 クロの質問に言葉詰まる千秋。 「魔神ですよ。ま・じ・んッ!!」 クロの質問に答えたのは、 スコアブック片手の佑香。 「…何?皆知ってんの?」 ベンチに座る全員の顔を伺うクロ。 「?」 「俺は知らねっす。」 ※沖。 1年生の様子から見て、 知っているのは半々といったところ。 「…何者?」 「だから魔神です。」 誰1人として話そうとはしない榊の話を淡々と話す佑香。 「だから魔神って何!?」 ガタッ… 「ちょ…おまどけッ!!」 佑香の隣に座る選手(沖)を無理矢理どかし席を奪うクロ。 「で?何なの魔神って。」 「えぇ? 別に…ただのあだ名ですよ。」 「あだ名?」 「そうです。魔神榊。 中学の時に呼ばれてて、 結構有名だったみたいですよ。」 「ふ〜ん……千秋。」 「…はい?」 「お前も知ってたわけだ。」 「ん〜...はい...一応...」 「どんな奴?」 「え…?さぁ? やたらおっかないって噂くらいしか…」 (何だその情報…) 「ただのバカですよ。」 口を挟む佑香。 「…さっきから思ってたけど佑香ちゃんの方が詳しそうだね。 言い回し的に。 もしかして知り合い?」 「え?知り合いっていうか… ただ中学が一緒なだけです。 話したことはないですよ?」 「…十分だな。 もっと情報ちょうだい。」 「い…いいですけど…」 (何の為に?) 前へ |次へ |
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