《MUMEI》

赤高ベンチ。



「ホントに話したことないんで詳しくは知らないんですけど…」



「何なに?」



「まず…入学当初から停学してましたね。」



「……は?」



「何か先輩に肩ぶつかったとか言われて殴ったとか。」



「???」



「あ。ちなみにその先輩前歯折れちゃったらしいです。」



「それ俺も聞いたことある。


やっぱマジだったんだ…


さすが魔神…」



「あの…いや…」



「他校の生徒も殴られて鼻骨折したとか。」



「あ。それウチの学校の奴かも…」



「え〜!?マジ!?


可哀想…


あいつホント最低だよね。」



「ちょ…ちょっと待って!!」



「?」



佑香の話を止めるクロ。



「違くてさ!!


どんな生徒だったかは別にいいや。


あんま興味ない。」



「え?」



「僕が知りたいのは、
どんな『選手』だったかなんだけど。」



「選手?」



「そうそう。」



「選手ってハンドのですか?」



「そうだって。」



「…さぁ?」



「いやちょっとしたことでもいいからさ。」



「え…?


だってウチの中学ハンド部なかったし。


そもそもあいつ部活なんてやってませんでしたよ。」



「…え?」



(こ…高校スタート…?)

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