《MUMEI》
ハラショウ
隣のクラスのベランダを覗いている田中を見ていると、途端に自分の目の前に嫌な気配を感じて全身に鳥肌が立った。




「…っ!田中!?」


「んー?何?」


「っ…あ、」



全身に冷や汗をかきながら、逃げろと伝えようとしていた口をギリギリで止める。


呼ばれたのに、何も言って来ない善彦に怪訝な顔をしながら、田中は善彦の近くに戻ってくる。






―まずい、逃げろって言っても田中はこの気配を感じてない…スレシルの事がばれるのも、困る…どうする!


「も…もう、良いだろ?は、早く教室の中に戻れよ…」



嫌な気配は、間近にあるがそれには気付いていないフリをしながら田中に声をかける。

が、



「なんだよ、善彦。緊張してる?なんか見つけたんだろ!」



余計な方向に勘の鋭い田中にぎょっとした瞬間







カツリ カツンッ









ミツケタ…スレシル…

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