《MUMEI》

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―――リュウジが、可哀想だと思った。



不思議なことに、リュウジの失踪に対する周りの反応は冷ややかなものだった。自分だけでは何一つままならない彼が、何も告げずにたったひとりで姿を眩ますなんて有り得ない筈なのに、誰ひとりとして騒ぎ立てたり警察に申し出たりすることもなかった。


この少女には姿を消してから1年経っても、こうやって探してくれる人がいる。対してリュウジには誰もいなかった。リュウジが消えてから半年が過ぎたというのに、それでも彼を心配してくれる人も、ビラを配ってくれる人も現れることはなかった。誰にも心配されないリュウジを憐れに思った。無条件でリュウジに同情してしまった。



わたしはビラを適当に畳んで鞄にしまい込み、その場から立ち去った。



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