《MUMEI》
わたしとリュウジ
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リュウジには父親がいない。離婚したのか、それとも死に別れたのかはわからないが、物心ついた頃には既に母子家庭だった。

母親はいつも怒っていた。部屋を汚したとか、食べ方が汚いとか本当に些細な理由で幼いリュウジを殴った。髪の毛を引っ張られたり、腕をつねられたりもしていた。抵抗できないリュウジには、ただ母親の暴力を受け入れるしかなかった。毎日が地獄だった。わたしはすぐ傍にいたけれど、何も出来なかった。


そんなある時。


いつものように母親に殴られたリュウジは、押入れに閉じ込められた。音のない真っ暗な狭い空間は恐怖を煽った。リュウジは泣いて母親を呼んだ。必死に謝ったけれど、母親がそれに応えてくれることはなかった。そのうち泣きつかれてうずくまった。疲れ果てていた。


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