《MUMEI》
森C
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森の中を風が通り抜けた。目の前で吊るされている少女の死体がまた揺れた。

「…君が彼女を殺したんだ」

リュウジはそう呟いた。取り分け責めるような口調ではなかったが、その台詞はわたしの胸の中で重く響いた。

わたしは何も答えなかった。少女を殺したのはわたしに違いなかった。真実だった。

車で轢き殺したとばかり思っていた少女は、生きていた。気を失っていただけだった。死体を処理しようと森まで運んで来たが、そこで彼女は目を覚ました。はっきり顔を見られてしまった。慌ててトレンチコートのベルトを使って首を締めた。簡単に死んだ。自殺に見せかけようと思いついて木に吊るした。リュウジはずっと震えていた。わたし達は少女の死体を残し、その場から立ち去った。少女を轢いた車は、とりあえずカバーで破損したボンネットを隠しアパートの駐車場に停めておいた。運が良いのか、今のところ誰にも怪しまれていない。


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