《MUMEI》

雅俊の作ったソウラン内だからか、さっきまで行動を制していた魔法はいつの間にか効力が消えていて、雅俊は簡単に階段の一段目を踏みしめる。



ゴクリ



脳に対して「おちつけ」と魔法で無理矢理制御しているにもかかわらず、雅俊はそのままの体勢で思わず唾を飲み込む。


「よしっ」


一段目にあげていた足に力を入れ、後ろの足をわずかに浮かせた瞬間――





カチャ…キィィ





屋上の扉が開く音がした。

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