《MUMEI》

「あの…」

「あぁ、すみません。私は、佐藤美夜(サトウ ミヤ)と申します。この学園の副会長を勤めさせていただいています」

「あ、蓮明蜜香(レンメイ ミツカ)です。えっと、佐藤先輩は副会長さんだったんですね…」


彼こと蜜香は、ふわりと優しく微笑んだ。
が、内心ではとてもハイテンションだった。

理由は男…いや、美夜が生徒会の副会長だからだ。


「そんな固くならないでください。私のことは美夜でいいですよ、蜜香さん」

「じゃあ、美夜先輩。あと、俺のことは呼び捨てで構いません」

「え、俺?」

「……何か?」


蜜香が俺と言ったことに驚いたらしい美夜。

そんな美夜を蜜香が少し笑いながら見た。
だが、その目はとても冷たく笑ってはいなかった。


「え、いや…てっきり女性の方かと」

「先輩、この学園は男子校ではないんですか?それに、女性あるべき膨らみは俺には一切ありませんが…何かご不満でも?」


確かに、蜜香が女に見えるのは否めない。
だが、蜜香は列記とした男であって、女ではない。

さすがに自分の性別を間違えられたら、起こりたくもなるだろう。

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