《MUMEI》
俺じゃダメかな?
あの日から1週間がたつのに、
竹田とは全然話してない。



私は今、教室でテスト勉強をしている。
教室には2人しかいない。
放課後だもんね。
みんな家帰るよなぁ。
とか思いながら数学の問題をといてたら
「となり、いい?J
って言われた。
顔を上げたら、そこには田中君がいた。
「うん。いいよ」
「ありがと」
それからお互い、自分の勉強をした。
「下校時間になりました。気をつけて帰りましょう」
放送がかかった。
「いっしょに帰らへん?」
田中君がいった。
「いいよ。」
私はそう答えた。


帰り道、田中君が
「最近、元気ないよね。どうしたん?」
「……」
「南ちゃんてさ、優也のこと好きやったやろ」
「なんで知ってるん?」
「見てたらわかるよ。いつも楽しそうに話してたやん」
「私、かってに好きになって、かってに失恋しただけだから。」
「……」
「じゃあ、家そこだから。また明日」
「…じゃダメかな?」
「えっ?」
「俺じゃダメかな?」
「……考えさせて。」
「うん、急にごめん。また、明日」
そう言って田中君は走っていった。

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