《MUMEI》

―ばれるばれないって言ってる場合じゃない…





端から見れば1人で顔に腕をすりつけている様にしか見えない滑稽な姿の善彦を見て、田中は理解不能と言った顔をしている。


「…た、田中っ…頼む、出来るだけ…早く…遠くに、逃げろ…」


ギリギリと締め付けてくる何かは、少しでも気を抜くとより強く善彦を締め上げる。



「え?」



全く状況のわからない田中も、善彦のおかしな様子に、ただ事では無い何かを感じたらしいが、『逃げろ』の意味までは取りかねているようだった。






そんな状態を、相手がいつまでも待っていてくれるはずがない。

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