《MUMEI》
壮絶バトルトーク
仲田が言った。
「反則の線って、サイトによって違うってことですか?」
「仲田!」火剣が歓喜の笑顔だ。「やっとやる気を出したか?」
「最初から出してます」
「確かにサイトによって違うぜ。エロにはすぐエローカード出すサイトは困るぜ」
「イエローだろ。言葉を選べ」激村が睨む。
「エロの何がいけない。テレビでもエロカワイイとか普通に言ってるだろ?」
「待て火剣」
「エロ自慢のエロールジマーマンはどうするんだ? 名前を変えろって言うのか?」
火剣がパワーアンドラフファイトで暴れまくる。
「規制規制という流れを断じて阻止せねば」
「整理しよう。サイトによっては官能小説と普通の小説と完全に分けているところがある」激村が冷静に語る。「いわゆる18禁だ。18歳未満は官能小説を読んでも書いてもいけない」
「18って言ったら立派な大人だぞ激村」
「何歳から大人という話とは違う。中には21禁というサイトもある」
「仲田はハタチだろ?」
「はい」
「テメー夜な夜な21禁サイト見に行ってるだろ?」
「行ってませんよう」仲田は顔をしかめた。
「横道にそれるな火剣」
「それてねえ」
ハイペースで話が進む。
「大事なことだから一つ一つ確認して行こう。まずラブシーンはOKだ。ラブシーンは18禁ではない」
「ラブシーンって、どこまでがラブシーンですかね?」仲田が聞いた。
「いい質問だ仲田」火剣がすかさず答える。「拷問シーンもラブシーンに入る」
「入らない!」激村が即答した。「デタラメを言うのはやめろ火剣」
「ラブシーンはキスシーンか?」
「そうだ。今度口を滑らせたら窓から放り投げるぞ」
「聞いたか仲田。非暴力主義者が窓から放り投げるとか言ってるぞ」
「いいですよ、そんな話は」
「泣くな」
激村が話を戻す。
「恋愛小説にラブシーンはつきものだ。問題はベッドシーンの描写だ」
「おっ、テメーもようやく小説家らしくなってきたな激村」
「貴様の基準がわからない」
「いいから続けろよ」火剣が満面笑顔だ。
「ヒントになるのは映画だ。映画のベッドシーンはイヤらしくない」
仲田が真顔で聞き入る。
「裸で抱き合っていても微妙に女優の胸は布団などで隠されている」
「毛布にくるまる全裸の美女はそそるから、わざとチラリズムの裏技を駆使してエキサイティングに演出してるんだ」
「全然違うと思う」激村が呆れ顔で言った。
「この話はまだまだ続けるぞ。小説を書くうえで最重要課題だからな。ガハハバハハハハ!」

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