《MUMEI》

赤高ベンチ。



「珍しく早いすね。」



ベンチに戻った峰田が言った。



「ん…今回に限ってはね。


10分で向こうの情報はだいたい把握できたし。


この時点でリードしてんなら僕のシナリオ通りかな。


計算外なのは…」



「魔神すか?」



クロの言葉を遮る椎名。



「そうそう。
お前も知ってたんか。」



「まぁ…色々と有名ですから。」



椎名の頭の中にあったのは、


佑香や千秋と同じ内容の事実。


椎名たちの代で榊は有名な男だった。



ボソッ…



(魔神って?)



小声で隣にいた村木に尋ねる日高。



ボソッ…



(知るか。)



「まぁあいつは千秋が抑えるとして…」



「えぇッ!!?」



クロの発言に過剰なリアクションを見せる千秋。



「無理っす無理無理ッ!!!!!
魔神に付くなんてそんなおっかないことできないすよ!!」



「…何で?」



「だ…だって怖いんすもん…」



「なんだそりゃ。
言っとくけどあういう奴こそお前の絶好のカモだよ。」



「…?」



「いかにも短気そうでプレーが雑。


パワーに頼っただけのちょっとシュートが早いシューター。


ほら。


絶好のカモでしょ?」



「う…う〜ん…」



クロの言葉に悩む千秋。



「時間ないからこの話は終わり。」



「…」



「次。両サイド。」



「はい?」

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