《MUMEI》
あの日の夕焼け
あの日、誓った紅い夕焼けは、黒に染まった、夕闇を押し退け、日々が終わるその最後の時間にまで、紅く小さな希望を植え付けた。

遅く帰った私の顔を見て、父は、食事を出し、小さく笑った。何もなく、ただ、食事を出し、力なく、振り替える様は、私を戒め、今を造る。

私の過去は、荒んではいるけれど、あの紅い夕焼けは、いつも、記憶に残っている。何もなく、何もかたらず、ただ、食事を出す父の背に、初めて、味わった、悲しみの雫と、ルールを誓い、自らで破ったそのルールは、新しい、ルールとなって、私に希望を与えた。
大人になって、ルールが、あると可笑しいなんていうけれど、ルールを破り、自由にしたところで、何もなく、何も考えず、ただ、新しいルールだけを、自分に、似合う、新しいルールだけを、造りはじめ、

また、ちぎり、造り直し、また、考え、世界というルールがあることを、知り世界にもたれても、やはり、ルールは、いつまでも、私の中にあり、いつまでも、いつまでも、甘い記憶と、確かな足取りを与えてくれる。

ルールを破る事は、約束と、時間とをも、破る事であり、時間のただ中にいても、自由のただ中にいても、ルールなき人生は、ただ、草原にたたずむ、無力な子供であり、ルールなき民は、自分たちをも、蔑む、理想なき集団に等しい。

今、この地球に生まれたならば、ただ限りない、この命のただ中に、戦争というルールで造られた、世界のレールを守るために、レールを教え、レールで戦い、レールを、また、外し、その時は、散ってみせます。
ただ、魂のなく、あの紅い夕焼けの丘に。


スズムシ・センチュリー(作家志望)

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