《MUMEI》
2度目の出会い
しかし
彼女はこっちを見ようとしない。
俺は、彼女の腕をぐいっと引っぱり
こっちを向かせて
もう1度尋ねた。
「江上だよな???」
彼女の目には
沢山の涙がたまっているように見えた。
そして、彼女は口を開いた。
「違うわ・・・・・。」
その声は震えていた。
そして
まぎれもなく江上の声だった。
俺は、出来るだけ優しく
「江上?どうして嘘をつくの??」と聞いた。
彼女は、黙り
こらえていた涙が
1粒・・・・・・・
そしてまた1粒と
落ちていく。
そして
彼女は泣き出した。
これが
俺と本当の江上との
出会いだったのかもしれない。
そう。俺と江上は
1度切りの人生で
2度も出会ったのだ。
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