《MUMEI》 ラント修道師に声を 掛けようとした時、 ケインの叫び声と物 音が聞こえた。 振り向けば、顔面蒼 白のジェルマを抱き 留めるケインの姿が あった。 …ああ、お嬢ちゃん には酷な内容だった と改めて気付く。 『おい、しっかりし ろ、お嬢ちゃん!』 声を掛け、歩み寄れ ば、意識が無い様子 隣では、こちらも青 冷めて狼狽える坊さ んの姿が見えた。 …お嬢ちゃんの事は ケインに任せた方が 良いだろうな。じゃ あ、俺は坊さんの方 を、っと…。 ケインに無言で頷き 喚く坊さんの肩を掴 み、部屋を出て行く 『何処へ行くんです か?』 不機嫌な坊さんの質 問に答えず、歩く。 …そろそろアイツ等 も帰る頃だ。何か手 掛かりを持ち帰れば 良いが…。 外に停めてある馬車 の中に坊さんを押し 入れ、一緒に自分も 入る。 『な、何で馬車なん かに?』 坊さんを前に座らせ 静かに話しを始めた …ケインの過去やリ ュオンの事、赤い悪 魔の真実、ケインの 本当の目的、など… 始めは騒がしかった 坊さんも、最後には 黙って聞いていた。 『…では、アナタ達 は、新薬の秘伝書を …処分すると言うの ですか?』 『…ああ、悪魔の薬 の根絶、それがケイ ンのリュオンへの誓 いだ。あんなモノは この世に存在しては ならない。』 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |