《MUMEI》
アクションシーン
火剣が怒る。
「激村テメー。マンガじゃねんだ。日常生活で人にドロップキックとかジャンピングニーパットとかあり得るか?」
「静かにしなさい」激村は涼しい顔で言った。
「普通なら傷害事件だぞ。少しは考えろ」
「貴様こそ言葉を選べ」
「うるせえ。そのデカイずーたいで宙を舞うな」
「禁句を連発するからだ野蛮人」
「野蛮人だと? 超獣ヒバゴンには言われたくないな…」
フライングボディアタック!
「NO!」
2メートル近い巨漢二人のアクションに、仲田が呆れた。
「授業料払ってる身にもなって欲しいですね」
激村が一人だけ戻ってきた。
「授業を再開する。小説でアクションシーンはこだわりを持って描きたい」
「はい」
「1対1の喧嘩シーンや、1対複数の乱闘シーンも、とにかくリアリティーが求められる」
「喧嘩なんかしたことない人はどうするんですか?」仲田が真顔で聞いた。
「喧嘩シーンをリアルに描くのに喧嘩の体験は必要ない」
「え?」
「喧嘩は犯罪なんだから、経験がないのが当たり前。私は万引きが上手かったと自慢する人はいないはずだ」
「なるほりろ」仲田は安心した。
「喧嘩自慢は好きではない。聞いてもいないのに武勇伝を話したがる男は賢い女性から嫌われている」
「はい」
「で、小説だが、明らかにリアリティーに欠けると思うのが、1人で20人くらいのチンピラを簡単になぎ倒していく場面だ」
「確かに」
「張飛のような猛豹のごとき豪傑ならわかるが、普通の人間がそれをやるのは厳しい。もしやるなら倒し方も一つ一つ裏付けが欲しい。格闘技の技で、しかも一撃必殺の打撃を的確に当てているかどうか」
「格闘技経験者から見たら、やはりリアリティーに欠ける作品はありますか?」
「たくさんあるな」
「シティーハンターやゴルゴ13はアリか?」火剣が戻ってきた。
「プロの始末屋は普通の人間じゃないからアリだ。レオンも」
「そうかそうか草加せんべい」
「それはなしです」仲田が睨む。
「草加は山梨じゃねえ。埼玉だ」
「授業の邪魔するなら出てってください」仲田が怒る。
「テメー、喧嘩売ってるのか。俺様が喧嘩シーンの実演を見せてやろうか?」
「火剣」
「冗談だ。それより激村。ジャッキーチェンのアクションはリアリティーよりコミカルを重視してるぞ」
「重要な視点だ。詳しく語り合おう。ジャッキー作品はヒントの宝庫だ」
激村の言葉に仲田も火剣も興味を持った。

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