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《MUMEI》 混浴で乱闘シーン「女子アナがバスタオル一枚で混浴に突撃レポート。しかし運悪くチンピラに囲まれて絶体絶命の女子アナ。『タオルを湯船ん中入れちゃいけねんだよ』とマイクを奪われ、迫られる女子アナ。『ちょっと待ってください』慌てる女子アナ」 「火剣」 激村が呼んでも火剣は無視して話し続けた。 「チンピラが男のカメラマンにも絡む。『テメー撮ってんじゃねえよ』湯船の中ではバスタオル一枚の女子アナが大ピンチ。両腕を掴まれ、両足を掴まれ、バスタオルを掴まれ、万事休す。『やめて、それだけはやめて』必死に哀願する女子アナ」 「それ以上続けるとアルゼンチンバックブリーカーしか待っていないぞ」 「待て激村」 ようやく火剣が止まった。 「火剣さんのは創作じゃなくて妄想なんですよ」 「うるせえな、言論の自由妨害コンビは」 「何てことを」仲田が怒る。 「授業を妨害してるのは貴様だろ」 「激村。まだまだ青いな」 「何？」 火剣は得意顔で講義した。 「バスタオルを取られて素っ裸を男たちの前に晒すかというギリギリの線まで引き込んで、実はカメラマンは格闘技をやっているボディーガードなんだ」 「そういう設定ですか？」仲田が少し安心顔だ。 「二人とも善人ぶって心の奥底では女子アナが全裸にされちゃうことを期待しただろ？」 「火剣さんと一緒にしないでください」仲田がムッとする。 「図星か？」 「火剣の作品は人間の悪性を引き出す作品か？」 激村の思わぬ反撃に火剣は燃えた。 「ほう。言うじゃねえか。答えはノーだ。ギリギリ引き出すのは悪役の本性だ」 「一歩間違うと危ないな」 「自分から倒れて相手を誘い、下から三角締めを決めるノゲイラの試合を見てヒントを得た」 「嘘をつくな」激村が怒る。「そんな奴いるか？」 「うるせえ」 「で、カメラマンはどうやって反撃するんですか？」仲田がまともな質問をした。 「そうだなあ。暴力的な反撃よりもコミカルな乱闘シーンにしたい。まずは湯船の男めがけてモンゴリアンチョップ！」 「コミカル過ぎませんか？」 仲田の意見を聞き、激村が言った。 「では、実際の喧嘩で使えるリアリティーのある技を使うのも手だ」 「なるほど。ヘッドバットか」 「エルボー」仲田が言う。 「タックル」 「パワーボム」 「卍固め」 「卍固めは無理だろ」激村が言った。 「じゃあ、コブラツイスト」 「複数との乱闘には不向きだ。後ろから殴られる」 「そうだ、こういうときこそ地獄突き、イス攻撃、柱に叩きつけるときには『鉄柱！』岩に頭をぶつけながら『放送席！』と叫ぶのが基本だ」 「コミカルになりましたね」仲田が笑う。 「仲田テメー、同意するな。突っ込むところだぞ」 「知りませんよ」 会話が乱れてきた。無効試合になる前に激村が言った。 「もういい。次に移ろう」 前へ |次へ |
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