《MUMEI》

 





「暇だなァ―、誰か事件起こさないのかな――、あ―暇だ―」




黒いソファ-に俯いて寝転び足をジタバタさせる







「暇だ暇だ暇だ、暇暇暇暇…………………」






声と足のばたつきを止め耳を澄ませる………。




微かにパトカーが鳴っている。一目散に窓際に向かいビタンと額をガラスに擦りつける







「わ―――ぉ。事件じゃん事件じゃ―ん♪しかも大通り!強盗かな?飛び降りかな?殺人かな?通り魔かな?引ったくりかな?火事かな?」







連想ゲームのようにいろんなことを吐き出していく。わくわくとした効果音を出しながら、コートを羽織って目的地へと向かう。









▽▲







ワーワー、きゃーきゃー

野次馬共が辺りを囲み、警察も段々と数を増やしていった。







「「………………………」」







買い物袋を両手に持った弥生とコーラを片手に持ったあたし。





えっと、何これ。
え? ドラマの1シーンとかそんな感じ??





強盗みたいな雰囲気に、強盗しにきちゃいましたよ―的な顔隠した軍団に、強盗には欠かせない銃がチラチラ見えるし




えっと。まず落ち着いて脳内整理をしよう!



…………………これはつまり











強盗ォォォォォォォ!?










「ね、ねねねねぇ、弥生すわぁん?あのこれ、もしかしなくとも…………」

「強盗ね」





あっさり認める弥生。









「いや、だっておかしいじゃんッ。ここ服しかない店だよ!?普通銀行とかおそうよね、あたしだったらそうするね!」

「今時の強盗もオシャレになったんじゃない?」

「それ単なる馬鹿だろ!馬鹿の集まりだろ!!」


「そこうるせェぞ!死にてぇのか!?」







見張りをしていた男が銃を向ける。

それだけで店にいた人達は叫び声を上げる











「……………どうしよ」

「……………もうじき行動に移すんじゃない?奴等」











もし、人質代表になったら……………



ゴクッと生唾を飲みリアルな現実を受け入れる











「まだ残りの人間がいたぜ―」





あたし達の後ろのドアがガチャリと開きニットを被った男が出てくる。









「ほら入れ」







荒々しくドアの向こうから引っ張り出したのは………………………………………







「「「「「(男!?)」」」」」














ここ、女性の服しか取り揃えてないのに









 

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