《MUMEI》

 






その人はまるで鴉のようだった







上から下まで黒いのに、瞳は深い紫。バカにしてるような嘲笑っているような他人を見る瞳に見いる……。












「痛いなァ、引っ張らないでくれる―?」

「うるせェ!さっさとここ座れ!!」

「はいはい」









何なんだこの人………
なんでこんな危機的状況なのに
自宅みたいにくつろげるのォォ!?








「綺麗な人だね」

「え!?あ、うん」





弥生がコソリとあたしの耳元で呟く



じっと見ていると向こうも視線に気付き目が合う。





やばッ!






バッと視線を変えるあたしにその人はもそもそとしゃがんだ体制のままこっちにやって来た。


えええ!な、何で!?










「あの―」

「は、はい!?」

「…………声の音量もう少し小さくしてくれる?仮にも今君は危ないんだしさ」

「いや、あなたもですよ」

「ハッ、僕は大丈夫さ」






何、その自信に満ちた顔










「こうゆうのってワクワクするよね。さながらゲーム感覚」

「はぃッ!?」

「人質の数ってこの部屋にいる人達だけ?」

「……はい、多分」

「そっか―――」









人質は女ばかりが約12、3人の店員と客。それに子供かァ





裏口から入ったけど見た数だけで3人。で、この場にいるのが4人………か




この店内は出入口がある左側しか窓ガラスが無く、右側は壁。



死角は減るが、コイツらは馬鹿か?警察の方にばかり集中して各方面から見ようとしない。



人数の意味が無い





人質の動きを監視する人間を置いとけよバカバーカ

おもしろくないじゃん。









「あの……」





女が僕に話出してきた






「どうしてこんなとこに男のあなたがいるんですか?あ、店員さ……「違う違う。只の一般人」

「へ?」


「いやぁ、向こうからじゃ警察のおかげで全然店内が見えなくておもしろくなかったから、あのドアの向こうにある裏口から入ってきたの」

「―――――ッッ」











変人だ…………このひと変人だッッ!!!


なんでわざわざ死にに来た!?世界仰天ニュースか!!

さながらインディージョーンズかッ!!






 

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