《MUMEI》

 







「あなたもしかして………死神の黒尾さん?」

「は?」






弥生が話に加わってきた。








「え?僕ってそんなに有名人?」


「うわぁ、生で見るの初めてです♪」

「ちょっと弥生、今の状況わかってる!?危機的状況なんだよ?わかってる!?」

「あ――うん。わかってるわかってる」






軽ッッ!











「あ――なんかもう暇だなァ人質も。最初はワクワクしたけどこうも動けないと暇になってくる」

「暇ってあなた…」

「すいまっせ――――ん!」

「ちょっ、えええええ!?」










普通に立ち上がり、普通に銃を持った強盗近付いて行く…。



人質もましてや強盗の人間でさえもこの男の行動には驚愕し、口をあける。








「ち、近付くなァ!撃たれてぇのかテメー!」

「撃たれたいわけないじゃん。何?コレ脅し??」









ガチャリと他の仲間も一人の人間に銃口を向ける。










「君達、強盗は初心者?穴だらけだよ君達の犯罪手口は」

「あァ!?」

「これだから馬鹿は困るね、犯罪やるぐらいならもっとクオリティー高くしてよ」











あ、まただ。
またあの見下した感じの眼をする



――――――冷たい瞳












「あとさ、コレは脅しの道具じゃない。人を殺すための道具だよ?」






ゾクリと背筋を走らせるような笑みを見せる









「さぁーてさて!君達の覆っているそのダッサいニット帽!これは外観から身を隠すためにとても役立つ代物かもしれない。が!違う視点から考えてみよう、このニット帽、誰が被っても……………………バレない」




「!?」




「とゆうことは、君達``強盗団以外''が被っていてもバレないとゆうことだ」

「――――――な!!!」





ガァン、ガァン、ガァン!!!













銃声が店内を覆い、人質達は叫び、三人の強盗はその場に力なく倒れ込む。



そして三人を撃った男が同じニット帽の帽子を引っ張り上げ脱ぎ捨てる。








「――――な、なななッ」

「あらら、もう一人になっちゃったね―」


「バッ、馬鹿な!!いつの間に入れ代わって……」

「僕がここに来てからだよ。君、僕が一人だけだと思い込んでた?思い込んでたんだよねぇきっと…。最初っから裏口の人間は潰して、このシノさんにニット帽と服を着替えさせて演じてもらったんだよ」

「そんな上手い話が……」

「あるんだよ。僕だからね」







ニコニコ近付いていく








「く、くるなァ!」

「さぁーて、僕の退屈を少しは薄めてくれるかなァ?」






つり上がる口元
ただ愉しみだけを追う男


今宵はいつもと変わらず、犯罪が起きる。









「ぎゃあぁぁあぁアぁァ」







 

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