《MUMEI》
フリー人間
 

△△フリー人間△△









「どぉ――――ぞ」




コトンとコーヒーの入ったカップを机に置くと刈真は黒のソファ-に座る。










「黒を基調とした事務所ですけど黒色好きなんですか―?」






弥生が質問をする。刈真は首だけを弥生のほうに向けて







「あぁ、好きだね―。タイトに見えるし」

「黒尾さんにとっても似合う色だと思います―♪」










……………………。


やべーよ、弥生の目がハートじゃん
スイッチ入ったなこりゃあ……。



あ―――――………帰りたい。











「ところでさぁ…」

「はいはい!」

「うるさい弥生」







あたしは呆れながらコーヒーをひとくち口に含む。



ほのかに落ち着いた苦味が広がる










「僕のこと知りたいって言ってたよね―、そこの君」






シュバッと空気を裂くような音を出しながら弥生に指をさす。










「はい!知りたいです!」







目をキラキラさせて身を乗り出す。その拍子に肩がぶつかり色は「オォウッ!?」とオッサン染みた声を上げる。










「それは何で?」

「えっ……………え―と、そりゃあカッコよかったんで。デヘッ」







おいおいデヘはねーよデヘは……







心中呟く色はソファーの上でちいさく三角座りの体制のまま口にカップをつけ、目線を窓に移す。




ネオンの光、車両のブレーキランプ、煌々と輝くオフィスビル群


昼も夜も変わらない光
創られた光―――









 

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