《MUMEI》
きいろ
大好きな人がいなくなってもう5年。
気持ちを伝えられずにいなくなった
「5年経って戻ってこなかったら新しい恋をしよう!」
そう秘かに心の中で思っていた。
どこかで「帰ってきて」と願う私。

そして私が中3になる春。

この学校は田舎にある小さな学校。
全校生徒120人。
だから学年が変わってもクラス替えが無いから楽しみが無い。
でも学生寮が各学年ある所はいいんだけど・・・。

−始業式後−

「佳奈ー!」振り向くと優衣がいた。
「どーしたの?」
「転校生が来たんだよ!ちょーイケメンの☆」
「ふーん・・・」
「何その反応!佳奈、早く教室行くよ!」
優衣に手をひっぱられながら教室に行く。

「橘・南波!何してたんだ!」
無駄に熱い矢野先生に怒られた。
「今日は転校生が来てるのに・・・情けない。」
私と優衣はしょんぼりした顔で席に着く。
「じゃあ早速転校生の西条君に入ってもらおう!」
え・・・。今、先生何て言った?
西条・・・。
クラスの女子は甲高い声を張り上げその西条君を待っている。

−ガラガラ・・・−
「あっ・・・」
思わず声が出てしまった。
どうして?
どうしてここに航平がいるの?
周りの女子はみんな
「イケメンーー☆」
「かっこいいーー☆」
そんな声が聞こえてくる。


諦めようとしてた恋。
どうして今なの?
もう忘れかけてたのに・・・。
ずるいよ・・・。

「やっと会えた」という喜びと
「どうして5年間ほったらかしだったの?」という悲しみで
私はパニックだった。
何も考えたくなかった。
会えて嬉しいはずなのに
どうしてこんなに苦しいの?

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