《MUMEI》
きみどり
何でも受け入れてくれる航平。
時にお兄ちゃんのように優しくて
弟のように甘えん坊で・・・。

母と父がいない私にはありがたかった。
それも航平は知っている。

「みんなーー!夕飯の時間だよ☆」

みんなと言っても航平と咲希と俊介だけ。
この寮は別に毎日泊らなくてはならない訳ではない。

今日は4人だけ。

夕飯も済み、みんなが寝静まった後
私は食器洗いや寮長としての仕事に追われてた。

「まだ起きてんだ!」
「航平・・・。」
「もう12時過ぎてんじゃん!」
「いつも2時前に寝てるから・・・。」
「そうなんだ。」
「早く寝なよ!航平、寝坊するよ!」
「大丈夫だよ!何か寝付けなくてさ・・・。」
「そっか・・・。」

航平のどうでもいい話を聞いていた。
ただそれだけで本当に幸せだった。
航平がここにいるって感じれることだけで・・・。

「やっと終わったーー!」
「もう1時30分だな・・・。」
「ごめんね。こんな時間まで付き合わせて・・・。」
「いいよ☆俺が勝手にいただけだし・・・。」

2人がそれぞれの部屋に向かおうとした時・・・
「佳奈、まだ起きてたの?西条君も・・・。」
「咲希・・・。」
長谷川咲希。モデル並の顔立ち。学校で一番モテる。
ちなみにバスケ部所属。

「誰この人?」
航平が聞く。
「長谷川咲・・・「長谷川咲希です!」」
私を遮って咲希が言った。
「長谷川・・・さん・・・よろしく!」
「ねぇ。航平って呼んでいい?」
「え・・・いい・・・けど・・・。」
「よろしくね。航平!」

そうして咲希は部屋に戻った。
何かモヤモヤする。
もしかして咲希、航平のこと好きなの??
ダメだよ・・・。
勝てないよ・・・。
あんなに可愛くてモテモテで・・・。

苦しいよ。

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