《MUMEI》 ベランダの柵の向こうへ消えていく田中の姿を、ただ、硬直したまま見ていた。 一瞬、田中と目が合ったような気がした。。 「ネット!」 呆然とした善彦の耳に、聞き慣れた声が届く。 「うわダメか、、、クッション!」 ガサガサ、ざざっざっ―― 田中が、階下に到達したのだろうか、窓の外から、音が聞こえた。 前へ |次へ |
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