《MUMEI》 むらさき私と拓也が付き合ってるということはたちまち学校中の噂になり とうとう航平の耳に入った。 −夏休み− 夏休みでも学生寮は普段通り。 ただ寮を使う人が少ない。 今日寮を使う人は私と航平だけだった。 「おはよ、佳奈」 航平の声が聞こえた。 「おはよ、航平」 「拓也と付き合ってるって本当なのか?」 一瞬焦った。 でも冷静を装って 「うん。修学旅行の時から。」 「そっか・・・。」 胸が痛いよ・・・。 どうしてそんな悲しい顔をするの? 張り裂けそうな胸の苦しみに耐えられなかった私は外に出た。 咲希とすれ違った。 何で咲希が? 今日泊る予定何かないのに・・・。 「航平!」 「長谷川・・・。」 「どうかしたの?」 「いや、別に・・・。」 「ねえ。佳奈達、本当に付き合ってるみたいだね☆」 「あぁ・・・。」 「私達も付き合おうよ。」 「・・・。」 「私、航平のこと大好きだもん☆」 「・・・おぅ・・・」 「えっ!本当にいいの?」 「あぁ・・・。」 間近で見ていた私。 咲希が入っていくのが気になって扉の向こうでこっそり覗いていた。 知らず知らずのうちに涙が溢れてきて・・・ 声を殺して泣いていた。 馬鹿だ。 私は馬鹿だ。 傷つくのを恐れて前へ進もうとしないただの根性無しだ。 やっぱり航平が好きだよ・・・。 どうしたらいいの? ねえ。航平、分かってよ! 前へ |次へ |
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