《MUMEI》 「ちょっと 色!どうしたの!?」 弥生の腕を強く握って夜の街を人混み掻き分けながら歩いていく。 「買い物袋いっぱい持ってるんだって!ゆっくり歩け!!」 「!」 一向に歩くペースを落とさない色に苛立って、グイッと急停止させる。 「急に帰ろうとか……もう少しで黒尾さんのこと知れたのに」 「あいつ、嫌な感じがするんだ」 「ん―――…ちょっと怖いとこもあるけど、ニコニコして優しかったじゃん」 「――――…違う。あれは………」 ――――素顔じゃない 「とにかく関わったら危険な気がする」 「いいじゃん 危険な男!女はそういう男に惹かれんのよ」 「あたしは凡人生活が一番いい」 「つまんなッ!!」 「いいよ、つまんなくてさ。今の生活に波をたたせないようにすることがあたしの目標だから」 「アンタ、気付いてないみたいだけど 普通でいようと思えば思うほどアンタの場合ズレてるからね」 「ヘェエッ!?」 スタスタと、今度は弥生が先に歩いていく。 「さっさと帰るよ―」 人だらけの歩道。 気を抜けば見失ってしまいそうになる…… 「ちょちょちょッ、待ってェェ!」 焦って弥生を追いかける。 ▽▲ やっとのこと帰宅してゆっくりと引き戸を開ける。 あれ、立て付けが悪いな…。とか思いながらもガタガタと音をたたせないように慎重かつスムーズに手を動かす 「ふーっ…」 無事玄関を突破し、靴を脱ごう手をかけた瞬間 「………よぅ…えらく遅いご帰宅だなァ色さんよぉ〜」 「げッ」 頭上から低音ボイスが聞こえてきた。顔を上げ、ついつい声が出てしまう… 「た、ただいまよ―!いゃあちょっと訳がありまして…」 「言ってみろ」 上から口調のこの黒髪眼鏡くんはあたしの弟、笠岡 水輝 (ミズキ) 見た目は一見大人しい。頭もかなり良く制服もきちんと着ているから優等生に見えるだろうが ……………とんでもない。 最初に覚えた言葉『失せろ』 幼稚園、椅子を投げて窓ガラス破損 小学校、女の子みたいと馬鹿にされジャイアン的ガキ大将をフルボッコ 中学校、クラスの細井という男子がイジメに合い、その空気が気に入らなかったのか教室を爆心地とかす。 高校、カツアゲしにきた奴等を逆にカツアゲ、突っかかってくる上級生を病院送り 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |