《MUMEI》

 







(…………かあさん…お母さん!)

(あら、どうしたの?色)

(学校でお花の折り紙つくったんだぁ)

(綺麗につくれたのね。これチューリップ?)

(そう!じすんさく!!)

(じしんさくね)








ニコニコわらう母さんの笑顔は娘のあたしでも綺麗だと思わされた。

それほど笑顔が似合う人


こんな女性になりたいと思っていた










(そういえば水輝は?)

(あっこ)







指差した先には走り回る水輝と父さん


いつのまに消えてったんだろう、水輝のあんな笑顔…







―――――たぶん…












((デート?))

(そうそう!ね、美さ…)
(違うでしょ?お父さん)






ニコッと父さんに微笑む母さん。父さんはショボくれながら「はい」と答えた。









(ちょっと用事が出来ちゃって……夕方には帰れると思うから)






いい子にしててね?と優しくあたしと水輝の頭を撫でた







(水輝、あなたは男の子なんだからお母さん達が留守の間は水輝がしっかり護るのよ?)

(うん!悪いやつ来ても僕がジェットスクリューでやっつける!)

(ジェットスクリュー?)

(戦隊ものの技だよ)







母さんの問いに父さんが答えた。











(んじゃいってくるわね。晩御飯は二人の好きなお好み焼きにしたげる!)

(やった―――!)









それが最期だった。

母さんと父さんの笑顔、あたし達の笑顔の最後の日だった





天気は雨、憂鬱になりそうな雲が空を覆っていたのを今でも覚えている。










▽▲










「「……………………」」






――――――ザァァァァァァァ








ビショビショになったあたし達の目の前にはあちこち血がついている母さんと父さん


時刻は16:15








「…………おじいちゃんやおばあちゃんはいないかな?」

「……いない、お母さんとお父さんかけおちしたって」





駆け落ち…つまり親戚は一人もいない。









「…さん……お母さん?お父さん?…………冷たいよ?血がついてるよ?何で……ねぇッ!お姉ちゃん!何でッ!?」







ヒステリック気味に叫び声をあげて泣き出す。







絶望、哀しみ、苦しみ



拒絶したくなるほどの感情に吐き気がする。











「……………通り魔がね、お母さん達を襲ったんだ。君達だけじゃない、合わせ7人の人達が刺されて死んだんだ」

「……………通り魔…」









現場は血の海だったという。一般通りで起こった悲劇

雨で血が道路を滲ませ流れていったと

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