《MUMEI》
バカ
「颯太さん……来ました。」

意識を取り戻し、最低の状態を把握した。
光は俺を餌におびき出されたのだ。


「彼は無事だよ、ほら。意識も取り戻してる。」

口には猿轡を嵌められみっともない姿を晒されどこが無事なのか。


「俺に用ですか?」

牙を向ける獣の眼になり、攻撃的な光になる。


「彼を泣かせたい。」

俺を指しながら光に言い放つ。
こいつ、重度の変態だ……


「マネージャーを俺の許可無く勝手に持ち歩かないで下さい、いくら颯太さんでも俺のに手を出されたらいい気がしません。流石にそれくらい幼稚園でも習いますからわかりますよね?」

不遜な態度で睨みつける。人を逆撫でるのが光は上手い。


「君は……随分印象が違うね。」


「要件はまだですか。」

光のギラギラした部分が露呈している。
神経質に頭を掻きながら、俺を気にかけないように視界を外す姿はいじらしい。


「光君は、どこまで脱げるの。」


「全部。」

事務所的には下半身はアウトなのだが随分大きく出たな。


「強気だね。」

驚いた、と言うような大袈裟な表情だ。


「隠すものなんてない。」

これが、高遠光なのだとしらしめる。


「そう、じゃあ脱いで」

あろうことか下劣な言葉遣いをして光に命令をし始める。
光は黙ってシャツを脱ぎ捨てた。
馬鹿だな……そんな安い体じゃ無いのに。

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